アイカ工業株式会社
代表取締役 社長執行役員小野 勇治

アイカ工業株式会社 小野勇治

化学

10年後を見つめて、
海外への進出をさらに
加速させていく。

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はじめに

昭和11年に設立して以来、化成品と建装建材の分野を手がけるアイカ工業。近い将来、人口減によって主力商品の住宅市場の縮小が予想される中、この課題をむしろチャンスと捉えてさらなる成長戦略を推進する社長の小野勇治さんにお話を伺いました。

インタビュー

「世界を舞台に働いてみたい」 と手を挙げる社員に どんどん海外経験の チャンスを与えたい。

アイカ工業株式会社 小野勇治

時代の変化に対応していくために取り組んでいることを教えて下さい

すでにわが国の人口減少は始まっていますが、2020年のオリンピック以降になると、世帯数が急速に減少していくと予想されています。その影響は当然ながら新築着工戸数にも表れ、現在、年間約95万戸の着工数が2030年になると60万戸台まで減少すると言われています。主力商品が住宅を含む建築向けの当社にとってこれは一大事です。このまま何もせずに国内の住宅事業にこだわっていると大変なことになるというわけです。

こうした変化を予測して取り組んでいるのが海外展開です。これまで中国、東南アジアを中心に営業・生産拠点を設置し、海外市場の販路を広げつつあります。その結果、海外市場での売上がこの1年間で80億円ほど伸び、併せて海外売上比率も社長就任時の2010年度に5.8%だったものが、2017年度には33.4%と急上昇。今期はさらに175億円ほど上積みし38%以上にする計画で、新築着工数が大きく減少していく2020年度には45%以上に引き上げたいと考えています。

それに伴って、海外進出を担う人材の登用を積極的に進めています。執行役員には、シンガポール人やオランダ人とともに、日本人でも元商社マンという海外経験の豊富な人材が含まれるなどグローバル企業らしい布陣となってきました。

これからは、「世界を舞台に働いてみたい」と手を挙げる社員にどんどん海外経験のチャンスを与えて、全社的な底上げを図っていきたいと思っています。そうすることで近い将来、国際感覚を持った人材が技術や生産、営業などの部門に揃ってくるのではないでしょうか。

人とも、会社とも。 お互いを理解し、 認め合って手を結ぶ

アイカ工業株式会社 小野勇治

社長就任以来、M&Aを次々と成功させていますが、その秘訣は何でしょうか

私が社長になってからの8年間で、海外企業を中心に7社のM&Aを行ないました。当社にとってM&Aは、何より事業拡大をスピーディに実現していくための重要な経営戦略と位置づけています。国内であれば法律のことも分かるし、販売網もあって取り組みやすいかもしれませんが、海外で工場を作ったり、販売網を開拓したりとなると、相当な時間がかかってしまう。だから、海外では技術・生産・販売がセットになった企業をM&Aで買収し、そこをテコ入れしていくという手法をとっているわけです。

ではどのようにM&Aをすすめていくかですが、まず相手の技術や商品の分野が私たちと似ている、あるいは関連している、といった企業であることが望ましいと思っています。そういった相手と何度も面談し、社長や役員の人柄や経営方針などを把握します。もちろん、工場もじっくり見学させてもらいます。過去に工場を見て「これはちょっと・・」ということがあって買収しなかったことがありますが、そこはシビアに判断したいところです。

買収後の経営にあたっては、相手方の自主性を尊重します。こちらから人を送り込んでも3~5人程度にして、事業主体は相手の経営層にお任せします。その代り、シナジー効果を発揮するために、お互いのキーマン同士がプロジェクトをつくって何度も話し合いの場を設けます。今はテレビ会議という非常に便利なものがありますので、国内であれ、海外であれ、それぞれの社内にいながら顔を合わせて話し合うことができます。

それともうひとつ大切なこととして、良いパートナーだと思っても私は高い買い物はしません。企業価値の高い企業を買収すると、のちに「のれんの償却」が大きくなり本体の営業利益を大きく損なってしまう可能性があります。そうなると株主の配当にも影響を与えますし、当社のような小ぶりの会社ではまだそこまでの冒険はできないと思っています。

原則として、のれんの償却期間を5年以内に収めるようにしています。将来の市場環境は予測できません。償却が10年を超えるようなM&Aは当社ではありえないと考えています。

社会の課題を解決する商品を、 これからも

アイカ工業株式会社 小野勇治

住宅向け以外の商品開発も活発に行なっているそうですね

人口減もそうですが、日本の社会は様々な課題を抱えています。私たちの仕事の周辺でも、職人さんが不足していたり、物流費の高騰などの課題が日々の活動に少なからず影響を与えています。当社ではこうした課題に目を向けていこうと「AS(アイカ ソリューション)」を合言葉に、その解決に向けた商品の開発に取り組んでいます。

住宅以外の商品展開として不燃材のケイ酸カルシウム板をベースに開発した商品群がありますが、これも「AS」のコンセプトから開発しています。この商品群は、ケイ酸カルシウム板の表面に大理石、タイル陶板、木調などの柄をインクジェットプリンターでプリントし、その上に光硬化型の樹脂をコーティングして仕上げるという新しい不燃化粧板で、様々な課題解決の実現を目指しています。

例えばデパートやホテルなどの公共施設で大理石の壁面を目にすることがありますが、大理石は非常に重くて扱いにくく施工しにくい。それに価格も高い。ところがこの化粧板の重さは大理石の4分の1程度。簡単に切って現場でサイズ合わせもでき、当社の接着剤で簡単に貼っていけるため、熟練した石張り職人が2、3日かけて施工していた仕事を半日で終わらせてしまうことができるのです。軽いから物流費も安くなります。

こうした社会の課題を解決に導く商品を、これからもたくさん作り続けていくことが私たちの重要なテーマだと思っています。

自ら発想し、 スピード感をもって 行動するビジネスへ。

アイカ工業株式会社 小野勇治

これからのビジネスで大切にしていきたいことは何でしょうか

私は研究開発部門に20数年いて、その後、営業部に異動しました。営業先でお客様に接しているうちに、研究所の中で商品を開発している頃と大きな違いを感じるようになっていました。それはスピード感です。

研究開発に携わっていると、もう少しここを改良したいとか、質を高めたいと考えがちです。実際、私もそうでした。しかし、その思いはときとして独りよがりになって、発売時期が遅れてしまったり、予定価格が高くなったりすることがあります。

私が研究開発を離れて営業を経験して分かったことは、お客様に近いところで仕事をしてみると、見えていなかったところが見えてきて、今、何を大切にすべきかが分かるということです。現代は私が研究や営業の現場にいた頃よりも変化のスピードが速く、企画して実行するまでの時間が大きな意味を持ってきます。いつも必ずライバルの存在がありますから。

しかし、社員教育で「スピード感が大切だ」と口を酸っぱくして言ってもなかなか成果があがりません。やはりお客様の近くで仕事をしてお客様の生の声を聞いてみることが一番の近道ではないかと思います。研究開発や生産技術に携わる人が営業に同行することもそのひとつですが、思い切ってお客様に近い部署を一定期間経験してもらうことも必要ではないでしょうか。当社の場合、海外拠点が多くなってきましたので、海外の拠点に赴任させて拠点同士の連携を橋渡して新しい商品開発に取り組むなんていうことも必要になってくるでしょう。

そんな新しいことに前のめりになって、自分で発想し、スピーディに行動していくことが、これからのビジネスでは不可欠になってくるだろうと考えています。

「入社したい!」と 思ってもらえる会社にしたい

アイカ工業株式会社 小野勇治

アイカ工業に入社されたきっかけを教えて下さい

私が大学生の頃は、今のようにインターネットもありませんから、就活で活用するツールといったら企業情報を満載した分厚いガイドブックになります。若い人は知らないかもしれませんが、就活時期を迎えた大学生全員の家にこれが送られてきますので、就活生はこの中から行きたい会社を見つけるのです。私も就職活動を始めようとページをめくってみると、あいうえお順に企業情報が掲載されていて、「アイ・・・」といち早く目に留まったのが当社でした。聞き覚えのない会社でしたが、記事を読んでみると大学時代に研究していたフェノール樹脂の商品開発を手がけているとのこと。たったそれだけの理由で採用試験を受けたのです。

実は当社以外の企業も受けていましたが、その合否の連絡が来るよりも先に当社から内定をもらいました。「最初に内定を出してもらった会社に必ず行け」と大学から指導されていたこともあって入社を決めました。

あとから考えると「入社動機が不純だな」と思うのですが、この会社に40年余もお世話になっているわけですから、やりがいのある会社であったことは確かだと思います。ただ社長という立場で入社当時のことを振り返ってみると、若い人たちに「入社したい!」と思ってもらえる会社にしていくことはすごく大事なんじゃないかなと思うのです。ブランド力を高めて若者に支持される会社にしていくということも、社長の大きな役割のひとつなのでしょうね。

休日の独りの時間を、 クラシック音楽とともに過ごす

アイカ工業株式会社 小野勇治

学生時代からずっとクラシック音楽鑑賞を

子どもの頃は天体観測が好きでした。夜になると望遠鏡で星を眺め、休日には図書館で天体に関する本をワクワクしながら読んでいました。高校生になっても望遠鏡は手放せませんでしたが、高校2年生になって「さぁこれから受験勉強に打ちこまなきゃ」というときにクラシック音楽にはまりました。父が所有していたクラシック音楽のレコードを聴いたことがきっかけです。大学時代は、稼いだバイト代の多くがレコード代に消えていきました。今もそうですが、ロマン派のマーラーやブルックナー、ブラームスなどオーケストラによる演奏が好きでした。社会人になっても聴き続け、気がつけば5~600枚のレコードを所有していました。

同じ作品でも演奏家によってイメージが異なっていたり、とにかく奥の深いところがクラシック音楽の魅力です。今もヒマさえあれば、クラシック音楽を聴いています。特に社長になってからは会食やゴルフなどの機会が多くなり独りの時間がなくなってきましたので、休日に独りの時間を作って、クラシック音楽を聴きながらぼんやりと過ごすことを大切にしています。

ひとつ後悔するのは、レコード(アナログ)からCD(デジタル)に変わる過渡期に、膨大なレコードを1枚50円で売ってしまったこと。今から考えると名盤と称される物が多くあり貴重だったな、と。きっと、デジタル技術の発展が絶対のものになると思ったのでしょうね(笑)。

社名・役職などはインタビュー当時のものです。

インタビュー:2018年7月

経歴

昭和31年8月

24日生まれ

昭和54年3月

金沢大学工学部卒業

昭和54年4月

アイカ工業株式会社入社

平成12年4月

化成品開発第一部長

平成14年10月

化成品カンパニー営業部長

平成16年4月

化成品カンパニー副カンパニー長

平成16年6月

同社執行役員

平成16年10月

第二R&Dセンター長

平成20年4月

化成品カンパニー長

平成20年6月

取締役

平成21年6月

常務取締役

平成22年6月

代表取締役社長

平成30年6月

代表取締役 社長執行役員(現任)

アイカ工業株式会社

アイカ工業株式会社 小野勇治

1936年(昭和11年)の創業以来、暮らしを支える素材を創造する化学メーカーとして、多様な分野で用いられる製品・素材の創造を手がけています。国内トップシェアを占めるメラミン化粧板をはじめ、接着剤や塗り壁材といった化成品、カウンターやドアといった建材ともに、近年では自動車部材に用いられる樹脂製品や、スマートフォンなどに使われる電子材料など非建築分野にも積極的に進出しています。

アイカ工業株式会社
〒450-6326
愛知県名古屋市中村区名駅1丁目1番1号
JPタワー名古屋26階

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