株式会社西日本新聞社
代表取締役社長柴田 建哉

代表取締役社長 柴田建哉

マスコミ/新聞社

新聞社としての
経営基盤を支えるため、
事業の多角化に挑戦。

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はじめに

福岡県のみならず九州各県をカバーするブロック紙として、九州では全国紙を上回る発行部数を誇る西日本新聞を発行する西日本新聞社。社長を務める柴田さんは、九州と共に歩む地域の報道機関としての役割を継続しながらも、新聞を取り巻く環境変化を見通した新戦略が必要だと考えています。そんな柴田さんに、報道機関としての使命、新たな事業の取り組み、社長としての想い、未来を担う若い社員へのメッセージについてお話を伺いました。

インタビュー

これからも「報道の信頼性」と 「地域づくり」にこだわり続ける

株式会社西日本新聞社 柴田建哉

西日本新聞は、創刊140余年を迎えるようですが、その歴史を支えてきたものは何だとお考えですか。

あえて挙げるとするならば、報道の信頼性にこだわってきたこと、地域づくりを通じて地域と共に歩み続けること、この二つではないでしょうか。それは同時に、これからも欠くことのできない重要テーマだと思っています。

まず、報道の信頼性については、そのもととなる出来事が、西南戦争が勃発した明治10年に起こっています。この年、西南戦争は九州地方最大のニュースで、それを伝えるという使命から筑紫新聞(当時)を創刊しました。戦況を報じた新聞は飛ぶように売れたそうですが、創刊からわずか半年で廃刊になってしまいました。その理由は西南戦争が終わり、ニュースがなくなってしまったからと伝えられていますが、それだけではなく西南戦争に関して事実誤認の記事を載せてしまい、当時の政府から厳しい指導を受け、読者の信頼を失ったことが影響したのです。
このときの経験から、大前提として新聞は正確なニュースを発信しなければならないことを学んだわけです。
九州各地に約60ヵ所の取材拠点があり、政治・経済の中核である東京や海外にも担当記者を配置しているのは、記者の目で確かめて正しいニュースを記事にしなければいけないという創刊時の反省がベースになっているのではないでしょうか。

「地域づくり」は企業理念にも謳われる程、重要なテーマだったわけですか。

企業理念「わたしたちの九州西日本新聞社は地域づくりの先頭に立ちます」にあるように、「地域づくり」はずっと当社の重要なテーマになっています。しかし、私が社長になったとき、この理念に異論を唱える声が上がったのです。「先頭に立ちます」という言葉が、メディアが多様化する現代にそぐわないのではないか、偉そうではないか、と感じたからです。私も異論を唱えた一人でした。

そこで社史を開いて、改めて当社の歴史を振り返ってみると、九州に鉄道を引くための大キャンペーン、第二次世界大戦で荒廃した商店街の再開発、九州国立博物館、九州大学、こども病院、飲酒運転撲滅など、その時々で九州に必要なものを、紙面やキャンペーンで訴え、実現してきたことが分かったのです。

大切なのは「地域で一番困っていることは何だろう」と言うところにいち早く着目し、地域の先頭に立って課題解決に取り組むこと。そういう覚悟で続けてきたからこそ、140余年もの歴史を歩むことができたと思っています。

創設100年を超えた高校生の 柔剣道大会を盛り上げる。

株式会社西日本新聞社 柴田建哉

「金鷲旗高校柔道大会」「玉竜旗高校剣道大会」の2大会は、一昨年、創設100周年を迎えたそうですね。

高校の柔剣道大会である「金鷲旗高校柔道大会」「玉竜旗高校剣道大会」は、大正5年に「九州学生武道大会」という冠名で開催したのが始まりで、平成28年に創設100周年を迎えることができました。最初の頃は、福岡県内の高校だけの大会だったようで、柔道は12校、剣道は15校が参加していました。その後、九州全域に広がり、1973年以降は日本全国の高校が出場できる大会となっています。現在では海外も含め約1,400チームが参加し、インターハイなどと並んで高校3大大会の一つに数えられるようになりました。

この大会は「武道を通じて若人の教育的な育成」という大きな目的を掲げていますが、純粋にスポーツとしての醍醐味がいっぱいつまった大会でもあります。何より地方予選がない完全オープン参加による団体勝ち抜きトーナメント方式で行なわれると言うところが魅力で、7月の暑い最中、高校生がチームの勝利を賭けて必死に戦う姿は観る人の心を打つものがあります。私自身、主催者の立場を超えて、毎年この大会を心待ちにしています。

おかげさまで大会に寄せられる期待は年々高まっていますので、高校や柔剣道ファン、関係者の皆さんの思いに応えられるよう、これから益々盛り上げていきたいと思っています。

新聞社としての 経営基盤を支えるため、 事業の多角化に挑戦。

株式会社西日本新聞社 柴田建哉

新聞を取り巻く環境が大きく変わる中で、新たな取り組みはありますか。

メディアの多様化を背景に、紙媒体としての新聞の発行部数は全国的に減少傾向にあります。こうした中で、私たち新聞社が報道機関として生き残っていくためには、報道以外のところでも収益を上げられるよう事業の多角化を進めようとしています。

その施策の一つとして、福岡市内でこだわりの豆腐を中心とした食品の移動販売を手掛ける「豆吉郎」を子会社化し、安心安全な食品を地域に届けるサービスを始めました。近年、日常の買い物に不便さを感じる高齢者が増加傾向にあります。こうした買い物難民と言われる層と、「豆吉郎」の扱う商品のターゲットが重なっていることから、今後、需要は増えるだろうと予測しています。それでも「なぜ新聞社が食品の移動販売を?」と思われるかもしれません。実は、そのターゲットは新聞の主要な読者層とも一致しているため、販売窓口を新聞と統合すれば相乗効果が望めるというアイデアもあります。将来的には、既存の新聞販売店を巻き込んだ総合的な買い物支援サービスへの進展も期待しています。

それとは別の事業として、グループの2つの不動産会社を統合し、より収益性を高めた不動産事業を展開していく体制を整えています。自社が所有する都心部の複合ビルの活性化や、福岡市が推進する再開発事業とも連動する中心市街地活性化計画にもかかわっていくつもりです。

他にもまだまだ構想中の計画はいくつもありますが、どれもまだ一歩を踏み出したところで、模索しながら進めているという段階です。100の事業に取り組んでも90くらい失敗するかもしれない。それでも挑戦を続けて、報道機関としての経営基盤をより強固にしていきたいと考えています。

「辞表」を胸に、 社長の使命を貫く。

株式会社西日本新聞社 柴田建哉

2016年6月に社長に就任されたときの心境をお聞かせ下さい。

正直に言うと、それほどの気負いはなく「やれ!と言われればやるしかない」という感じでした。断るという選択肢はないですから。しかし、社長就任後、ある会社の社長から頂いた言葉をきっかけにその意識が変わってきました。その方は私に「社長になったらまず何をすべきか知っていますか」と質問されました。唐突な問いかけに戸惑っていると「いつも辞表を持っておくこと」とおっしゃいました。そして「何かあったら、辞めればいいだけじゃないですか」とも。まるでこちらの思いを見透かしたような言葉に驚きながら「そうか!」と腹に落ちました。「いざとなったら、辞表を出せばいい」。それは決して逃げ場を作るということではなく、社長という重圧に縮こまらず、前向きに挑戦する気持ちを大切にしなさい、と言うアドバイスだと理解したのです。それからです、「やってやろう」という気持ちが醸成されてきたのは。

社長の役割は会社のビジョンを描いて戦略を立てて、スピード感を持って計画を進めることだと思いますが、辞める覚悟さえあれば、あれこれ迷わず目標に向かって突き進むことができるのではないでしょうか。

「いい会社です!」と 自信を持って若い社員に伝える。

株式会社文化放送 上口宏

日頃、若い社員の人たちにどのようなメッセージを発信していますか。

社長に就任以来、入社式で新入社員に「この会社は、とてもいい会社です」という話をしています。

では、どこがいい会社なのか、と言うことですが、いい会社に必要な“5つの条件”を備えていると勝手に自負しています。一つは、販売している商品の価値が高いこと。どこに出しても恥じないクオリティーがあります。ニつ目は待遇面。子どもを育て、将来、親の面倒をみる、そんな生活設計に必要な報酬を保障している会社です。三つ目は社内に派閥がないこと。誰にも媚びる必要がなく、仕事さえきちんとしていれば文句を言われることはありません。四つ目は、失敗してもチャレンジできる風土があること。私自身、何度も失敗していますが、失敗しても「もう1回挑戦すればいい」と周囲が背中を押してくれます。五つ目は、すごいと思う社員がいること。単に仕事ができるというだけではなく、人間として懐が深く、この人には敵わないなと思わせる人のことです。そんなことを新入社員に伝えながら「当社に入社した選択は間違いではない。あとはあなた次第です」と激励の言葉を贈っています。その根底には、自分たちはいい会社で働いているんだということを自信や誇りにして、色々なことに伸び伸び挑戦してもらいたいという思いがあるからです。

社名・役職などはインタビュー当時のものです。

インタビュー:2018年4月

経歴

昭和59年4月

北海道大学経済学部 卒業後、

株式会社西日本新聞社 入社

平成12年3月

那覇支局長

平成19年8月

バンコク支局長

平成23年6月

報道センター部長

平成25年6月

執行役員・販売局長

平成26年6月

取締役

平成28年6月

代表取締役社長

株式会社西日本新聞社

株式会社文化放送

九州全域の約60の取材拠点を通じ、九州のニュースをきめ細かく報じるとともに、東京、大阪、アジアの拠点からも“九州目線”にこだわった政治、経済、国際情勢などのニュースを配信。地域活性化につながるイベントやキャンペーン等にも力を注いでいます。

株式会社西日本新聞社
〒810-8721
福岡県福岡市中央区天神1-4-1

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