株式会社サイゼリヤ
代表取締役社長堀埜一成

株式会社サイゼリヤ 代表取締役社長の堀埜一成

小売業

座右の銘は「我が人生、頂上無し」。
成長したいから勉強し、チャレンジし続ける

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はじめに

今回のリーダーは、株式会社サイゼリヤ 代表取締役社長の堀埜一成さんです。
1973年にイタリアンレストラン「サイゼリヤ」の経営が始まり、2019年には国内外の店舗数が1,500という人気の外食チェーン店に成長しました。
「近所にできてほしい飲食店ランキング」1位に輝く人気店であるサイゼリヤを率いる堀埜社長は取材当日、ネクタイ、時計、カフスボタンをすべてブルーに揃えて登場して下さいました。「これには意味があるんだよ」と元気に語る堀埜社長に、現在チャレンジしていることをお伺いしました。

インタビュー

サイゼリヤが目指すのは『ティール組織』 役職をなくしたフラットな組織を作る

株式会社サイゼリヤ 代表取締役社長の堀埜一成

ネクタイ、時計、カフスボタンを同じ色に統一されていますね。何か意味があるとお聞きしましたが、教えて頂けますか。

『ティール組織』という書籍をご存知でしょうか。
弊社では、4、5年前から組織の改定を始めていまして、人事制度を少しずつ変えてきました。縦型組織でしたが、公平性や透明性が保ちづらいと感じていたからです。そのための施策のひとつとして、店舗運営組織を変更して、店長、地区長、エリアマネージャーといった役職をなくしました。フラット組織として現場が判断をできるようにするためです。
そんなある日『ティール組織』という本が目に留まり読んでみたら、弊社が目指そうとしていることと同じことが書かれていました。ティールとは「青緑」のことですが、書籍では組織モデルの段階を「レッド型」「オレンジ型」など色分けして書かれており、最も新しいモデルとして「ティール型」があるということに触れています。詳しい内容については割愛しますが、「ティール型」とは上からの指示で動くのではなく、個々のメンバーやグループが自らの立ち位置を考え、自ら進んで行動することを示します。そして、そのティール型の組織のことを「ティール組織」と言い表していました。
弊社はまだ組織改定の途中であり難しいことも多いですが、このティール組織を目指そうとしています。そのため会社の話をするときは、「ティール(青緑)」を目指す会社として、その色を身に付けているわけです。

それぞれの専門分野に特化した人材を配置することで 現場で判断できる組織を目指す

株式会社サイゼリヤ 代表取締役社長の堀埜一成

『ティール組織』を目指す上で、役職を廃止された以外に取り組んでいることは何ですか。

役職を廃止した代わりに、4つの専門職「ソシエッタ」「オスピターレ」「マエストロ」「インプレッサ」を作りました。すべてイタリア語です。
「ソシエッタ」は、誰がいつ出勤するかなどの店舗の稼働計画や、売り上げ予想といった数字にかかわることを徹底的に行ないます。
「オスピターレ」は、イタリア語で接客士という意味があるのですが、お客様目線でお客様の欲しい物を探り、従業員に仕事をうまく割り振ったり、作業指示を出したりする役割です。本来店長が担っていたところですが、「店長」という役職だと、どうしても内側への視線になりがちなので、あえて「接客士」という意味の名前を付けて、外に視線を向けるよう促しました。
「マエストロ」は各自の専門性によって、様々な役割を担います。例えば商品品質に責任を持つ人、あるいは教育に特化する人などです。新人教育をいろいろな人がやると基準がバラバラになるので、まとめて教育を行なう人が400人ほどいます。
「インプレッサ」は、いろいろな問題が出てきたときに、それを発見して改善するチームです。プロジェクトチームのように機能的に動く役割があります。

それぞれができる範囲を狭めて、それに特化した専門家になることで、上層部に判断を仰がなくても決断できる組織に繋がると思います。

見抜く力と物の見方・変え方を考える力の基礎は、 小学生の本がきっかけ

株式会社サイゼリヤ 代表取締役社長の堀埜一成

社長の柔軟な発想の原点は、子どもの頃にあるとお伺いしました。子どもの頃や学生時代の話をお聞かせ下さい。

小学校低学年の頃は、親から与えられた本である図鑑をずっと眺めているような内向的な小学生でした。大きく影響を受けたのが「ファーブル昆虫記」で、観察ってこうやるのかと感心した思い出があります。このときに、本質をどのように見抜くかということを考え始めたのかもしれません。
もうひとつ影響を受けたのが、多湖輝の「頭の体操」シリーズです。その中に「ここに黒い紙があります。これをとったらここに何が書かれているでしょう」という問題がありました。そんなアホな問題があるかと答えを見たら「何種類考えたかによって頭の柔らかさが決まります」と書いてあった。思わず歯噛みしてしまいましたね(笑)。幼心にもプライドを傷つけられました。それからずっと頭の中にあの絵が出てきて、物の見方の変え方がいくつできるかということをトレーニングしてきたように思います。

では、どちらかというとインドア派の少年だったのでしょうか。

いいえ。小学校5年のときに器械体操を始めたことで、今度は運動に目覚めたんです。
中学生のときに大阪へ引っ越したのですが、バク転ができたのでいきなりヒーローです。みんなが一目置いてくれたから、友達の輪がバーッと広がりました。
毎日泥だらけになるほど遊んでいましたね。おかげで成績は少し落ちましたが、高校は今度は勉強に目覚め、「アメフトのチームがある大学へ行きたいから、志望校は京都大学か慶応大学」と目標を決めて、京都大学に進学しました。

サイゼリヤ・正垣泰彦会長となら 面白い仕事ができる! そう考えて転職を決意

株式会社サイゼリヤ 代表取締役社長の堀埜一成

京都大学の大学院から、味の素へ入社。それからサイゼリヤへは、どのような経緯で入社したのですか。

味の素に入社し研究所勤務したあと、九州工場での勤務を経て5年間ブラジルに赴任しました。私は食べることが大好きなので、当時のブラジルの工場長に「良い店を見つけたから一緒に行って、味を評価してくれ」と言われて、いろいろなところへ連れて行かれました。そのたびに、「ここはおいしい」「何が良い」など自分なりの評価をしていましたね。そのときの工場長が、その後サイゼリヤへと行き、自分のことも「食に興味があるだろう」と誘ってきたのです。
ただ、当時、私はサイゼリヤのことを知りませんでした。そこで実際に行ってみると、「パスタをこのレベルで出すのか」と驚きました。すごく興味はわきましたが、サイゼリヤのロゴを見たら「イタリアンワイン&カフェレストラン」と書いてある。私はお酒を一滴も飲めないから、無理だと断ってしまいました。

そこから一転し、なぜ入社を決断したのですか。

現在の会長(正垣泰彦氏)に会ってくれと言われて、12月24日のクリスマスイブにホテルの3万円のクリスマスディナーをご一緒しました。すごい料理だと思いながら食べていたら、会長が「これおいしくないだろう」と言って、その理由を話すんですよ。あっけにとられてしまった一方で、今までに会ったことがないタイプの人だと、一気に惹かれました。この人がいる会社で働いたら、きっと面白いぞと43歳のときに入社を決めたのです。

会長の言葉が「プレジデントブルー」を救ってくれた

株式会社サイゼリヤ 代表取締役社長の堀埜一成

サイゼリヤの社長に就任したときは、どんな気持ちでしたか?

就任の3ヵ月前に会長から「4月から社長だ」と言われ、「プレジデントブルー」になりました。 店舗運営の第3事業部長時代に、店舗のパートやアルバイトの人たちとも接していて、その人たち全員の人生を背負うと思った瞬間に「無理かもしれない」と、大きな不安にかられたからです。
そんなとき、会長に「たとえ失敗して会社が潰れそうになっても、社会から必要とされる会社であれば、決して無くなることはない。社長を変えて、また復活していく。だから気にせずやってみなさい」といった意味の言葉を投げかけられました。
「会社が社会から必要とされるものにしていく努力を怠らなければ、万が一自分が失敗しても会社は大丈夫」ということを意識した瞬間に、「プレジデントブルー」から抜け出せました。

しかし社長に就任した当時は、サイゼリヤの業績は厳しかったとお聞きしましたが…。

営業利益は良かったですが、他の部分で大幅なマイナスがあり、最終利益が150億の赤でした。しかし会長は、あえてそのタイミングを待っていたと言うんですよ。「これだけ赤なら何しても上がる一方だぞ」と。ある意味最高のタイミングで渡してくれました。社長の就任挨拶でも、会長の目の前で「理念以外は全部変えます」と言ったのに、会長はニコニコ笑って聞いていたし、何もかも器が大きくてすごい人だと思いましたね。
就任後は、社長である自分も多くのテレビに出て、世間の皆様に知ってもらえるよう行動した結果、あっという間に赤も取り戻せたし、会長の期待以上の成果も出せたと思っています。

座右の銘は「我が人生、頂上無し」。 成長したいから勉強し、チャレンジし続ける

株式会社サイゼリヤ 代表取締役社長の堀埜一成

社長が若い世代に期待することはどんなことですか。
また、今後何を目指していきたいか教えて下さい。

若い世代に言いたいことは、「まずは自分を信じる」ということ。自分の限界というのは永遠にないものだと思って、成長する喜びを感じた方が良いです。私の座右の銘は「我が人生、頂上無し」。いまだに自分で成長していると思うし、成長したいから勉強しているんですよ。

そして、今後目指したいことは「外食業の産業化」ですね。もともと入社時に目指してほしいと頼まれていたことですが、まだ実現できていません。 この「産業化」とは、私はメーカー並みの労働時間と賃金を意味していると思っています。外食業がそうなるには、どうにかして生産性を上げなければならない。とても難しいテーマですが、今までの自分の知識や経験、開発してきたものをすべて会社に残していこうと考えていますし、それが産業化に繋がればと思っています。

経歴

昭和56年4月

味の素株式会社 入社

平成12年4月

株式会社サイゼリヤ 入社

平成12年11月

同社 取締役就任

平成14年7月

同社 サイゼリヤオーストラリア代表取締役社長就任

平成14年10月

同社 商品企画部長

平成15年10月

同社 商品本部長

平成17年12月

同社 マーチャンダイジング本部長兼アグリ部長

平成19年3月

同社 第3事業部長

平成20年11月

同社 エンジニアリング部長

平成21年4月

同社 代表取締役社長(現任)

株式会社サイゼリヤ

株式会社サイゼリヤ 代表取締役社長 足立正之

1967年に千葉県市川市で洋食屋として始まる。その後1973年、イタリア料理専門店「サイゼリヤ」の経営を開始。サイゼリヤにかかわるすべての人が幸せになれる企業を目指しながら、品質とリーズナブルな価格の両立を進めた、従来の「外食業」の常識にとらわれないムダのない仕組み作りに励んでいる。

株式会社サイゼリヤ
〒342-0008
埼玉県吉川市旭2-5

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