株式会社モスフードサービス
代表取締役社長中村 栄輔

株式会社モスフードサービス 中村 栄輔

卸売業

モスバーガーのおいしさとアットホームさに魅せられ、入社を決意

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はじめに

今回のリーダーは、株式会社モスフードサービス代表取締役社長の中村栄輔さんです。飲食事業を展開する同社の代表格は、1972年にオープンした「モスバーガー」。「日本で生まれ、日本の味を大切にする」というコンセプトのもとおいしさを追求し、作り置きをしないアフターオーダー方式で、人々の心をとらえました。今回中村社長には、「おいしさ」とともに「安全・安心・健康」という考え方を大切にしている同社への入社のきっかけやリーダーとしてどのようなことに取り組んでいるのか、たっぷりお話頂きました。

インタビュー

野球とサッカーの両方を経験したことが、 経営に役立っている

株式会社モスフードサービス 中村 栄輔

どのような学生時代を送ってきたのかお聞かせ下さい。

中学は野球、高校と大学ではサッカーをやるなど、運動ばかりしていました。実は高校でも野球をやろうとしていたのですが、進学先の高校に野球部が無いことを入学日の前日に知ったのです。それを教えてくれた上級生に、「ちょうどいい、サッカー部に入れ」と誘われ、サッカー部に入ることになりました。幸いスポーツが大好きでしたから、すぐに馴染むことができましたけどね。

ちなみに野球とサッカーの両方をやっていた経験は、今の経営にすごく役立っていると感じています。

そうなのですか?その理由をお聞かせ下さい。

組織運営をするにあたり、平常時はサッカー型、緊急時は野球型が向いているからです。

サッカーはゴールが見えているので、ゴールに向かってボールを持った人を中心に全員が動きます。監督は「今日は攻撃中心で」とか「守備中心でいくぞ」という指示をしますが、あとは選手たちがゲームを組み立てていきます。会社も同じです。お客様の満足がゴールだとしたら、トップが方向性を示し、そこへ到達するための具体的な方法は社員全員が連携をして取り組むことになります。
一方で野球の場合は、監督がサインを出し、選手たちはそれを忠実にこなせるかが重要になります。会社の緊急時は、トップからある程度ビシッと指示を出すことが必要ですね。ですから、野球型のスタイルを取ることになります。

野球とサッカーの両方を知っていると、このあたりの切り替えがうまくできるのです。

モスバーガーのおいしさと アットホームさに魅せられ、入社を決意

株式会社モスフードサービス 中村 栄輔

高校卒業後は東京の大学へ進学されていますね。

はい。中学は地元福岡、高校は熊本でしたが、大学は東京でした。人を助ける仕事をしたいと思い、弁護士を目指したくて、司法試験の合格率が高い大学への進学を希望したのです。

モスバーガーとの出会いも、その頃です。東京でアパートを借りていたときに出会い、初めて食べたハンバーガーがとてもおいしくて、思わず「これはおいしい!」と声に出したことを覚えています。それ以来、同じお店をずっと利用して、店員さんからも声を掛けてもらえるようになりました。そんなアットホームな雰囲気が好きでしたね。

入社する前から、モスバーガーに好印象を持っていたのですね。
そこでの出会いが、入社のきっかけになったのでしょうか。

いえ、先にモスバーガーに入社された知り合いに誘われたのがきっかけでした。ただ、そのときは、あと1年は司法試験にチャレンジしてもよいと親に言われていたので断ったんです。
しかし、その年の司法試験も残念な結果となり、このまま司法試験を目指すなら働きながらするしかないと就職先を考えたときに、モスバーガーのことが頭をよぎりました。おいしくて雰囲気の良いお店だし、そういう環境で働けたらいいなと。そしてその方に相談したところ、ぜひ入社しないかと言われました。それで、「他の新入社員と同じような流れで、面接と試験をやってほしい」と希望し、その通りにして頂いて入社が決まったんです。

入社してすぐに株主総会で書記役に抜擢

株式会社モスフードサービス 中村 栄輔

入社してすぐに法務課に配属されたとお聞きしました。
その経緯をお聞かせ下さい。

入社してまもなく、翌日から株主総会があるので手伝ってくれと言われました。法学部出身で、法律用語を全部理解できるだろうからということで、入社して7日目で創業者(故・櫻田慧氏)の横で書記役です。とにかく一生懸命メモを取ったのですが、創業者から「もっと字を綺麗に」と注意されてしまいました(笑)。ただそのおかげで創業者と接することができたことは、嬉しかったですね。

新入社員が早々に会社のトップと触れ合える機会は貴重ですよね。

実はそうした機会は他にもありました。例えば、入社後まもなくして、ある日突然創業者から声を掛けられたことがあったのです。私は創業者の講話に対する感想レポートで、創業者は「自分の夢を追っていい」とおっしゃっていたが、実際の現場は夢を追うことができる雰囲気ではないのではと書いていました。それに対して疑問を持たれて、詳しく聞きたかったそうです。

当時私は、働きながら司法試験の勉強をしていたので、夜間の予備校に通うために18時に退社していました。その分就業時間内は必死で仕事をしましたが、定時退社に対して周りからは新入社員のくせにという冷たい視線を感じているとお伝えしたのです。
これに対して創業者は「君は間違っていない、頑張ってね」とおっしゃってくれて。新入社員のレポートにもきちんと目を通し、声を掛けて下さった創業者を見て、この会社に入社して間違っていなかったなと思いました。

管理職になったと同時に、夜間大学院で勉強

株式会社モスフードサービス 中村 栄輔

その後、法務部長になられ、入社10年目にして社長室長になられていますね。

そうですね。法務課で管理職になったときの話ですが、会社の近くにあった法政大学の夜間・企業家養成コースに通っていました。きっかけは自分が法律や契約以外の言葉、経営の用語などを知らないことに気付いた出来事があったからです。会社にも内緒にしたまま通っていたのですが、卒業する年に偶然社長室長になり、創業者のもとで仕事ができることをとても喜びました。
晴れて社長室長になって、創業者と会社の方向性の話をしていたときに、「プライベートなことですが…」と、大学院の修了証書を見せたんです。そうしたら「よく頑張った」と、すごく強い握手をしてくれたのを覚えています。

ところが、社長室長になって3カ月目で創業者が突然亡くなりました。その後は新社長(現・会長 櫻田厚氏)のもとで2年ぐらい務め、店舗開発本部長、営業企画部長などを経験しました。

店舗でのご経験がない中、店舗開発本部長や営業企画部長という仕事は大変だったのではないですか?

店舗経験も店長経験もない人が営業部長で大丈夫かという声はありましたね。
ただ、営業部長だから店舗営業のことをすべて知らなければいけないかというと、そんなことはありません。お店はSV(スーパーバイザー)と呼ばれる人たちが、しっかり見ていてくれるからです。私の仕事は、SVが困っているときになんとかすること。だから、そういうことがあったら、全部私に投げて良い、全部私が拾うから…という約束を彼らにしました。

自分だからできることはなにかを考え、 実行したこと

株式会社モスフードサービス 中村 栄輔

社長になられて4年が経ちましたが、
この間どのようなことを意識してこられましたか?

代表取締役に指名されたときに、会長は今までのものを変えてほしいのだと思いました。会長自身は、現場からの叩き上げ。もしその路線を引き継いでほしいのなら、自分と同じような経歴を持っている人を選ぶと思うのです。しかし私は法務畑で、途中から店舗開発や営業経験を積みましたので、考え方や仕事のやり方が違います。そんな私を選ぶのだから、私にはなにか違うことをやるということに期待しているのだと感じました。

そこで考えたのが、まずみんなの行動を変えようと思ったことです。みんな思いつきで行動してしまう傾向がありました。それも大切ですが、そうした場合、目的や経過を見失いがちになってしまいます。あとから、どうしてこうなったのかとか、検証の仕様がありません。ですから、行動を起こす前にまずは5分考えて、どうしてそのように考えたのか、書き残すことをするように指示しました。
それは会議の場でも同様です。とにかく「書く」。議論のみだと空中戦になり、堂々巡りで時間ばかりが経っていることがあります。ホワイトボードにポイントを書いて、要点を整理すれば、2時間の会議が15分で終わることだってあります。

そしてもうひとつは、会議で自分の意見を言うときは必ず手を挙げること。私自身、今でも手を挙げて発言しています。当時創業者はアントレプレナーシップ(起業家活動)を持って仕事をしてほしいと言っていました。その具体的な内容は、「自分自身で一生懸命考える」「自分自身で意思を決定する」「自分自身でリスクを負って仕事する」の3つです。
それらを実際に行動につなげるためにも、一歩でも良いから踏み込めという意味を込めて、会議の中でしっかり手を挙げて発言する重要性を説きました。

「周りの人のおかげ」という気持ちで挑戦すれば 結果がついてくる

株式会社モスフードサービス 中村 栄輔

今後御社が力を入れていきたいことを、お聞かせ下さい。

立地やお客様に合わせて、モスバーガー1本ではなく、カフェメニューを強化したモスバーガー&カフェなど、立地適応型の店づくりができないかということを始めています。典型的なのは、たまたま新型コロナの問題があったために、まだ日本では始まっていませんが、海外ではゴーストキッチンといって、宅配に特化した店舗を作ったりしています。

御社に憧れる若い世代も多いと思います。
ぜひ社長からメッセージをお願い致します。

今年はたまたま新型コロナの問題がありましたが、それがなかったとしてもDX(デジタルトランスフォーメーション)といったデジタル改革など、世の中はすごく変化しようとしています。変化が激しいときほど、面白いことにチャレンジできることも多いはずです。人として大切な気持ち、例えば「あの人がいてくれたおかげ」とか「周りの人がいてくれるおかげ」という想いを大切にしながら、思い切ってなにかに挑戦すれば、結果がついてくるのではないでしょうか。先程お伝えした、アントレプレナーシップを持ちながら頑張ってみて下さい。

社名・役職などはインタビュー当時のものです。

インタビュー:2021年3月

略歴

昭和63年6月

株式会社モスフードサービス入社

平成7年7月

法務部長

平成9年3月

社長室長

平成13年5月

店舗開発本部長

平成17年3月

執行役員 営業企画本部長

平成20年3月

執行役員
株式会社モスフードサービス関西 代表取締役社長

平成22年6月

取締役執行役員 開発部長

平成24年11月

取締役執行役員 国内モスバーガー事業 営業本部長

平成26年4月

常務取締役事業統括執行役員

平成28年6月

代表取締役社長

株式会社モスフードサービス

株式会社モスフードサービス 中村 栄輔

ハンバーガー専門店「モスバーガー」が1972年に誕生。以来、日本の食文化を取り入れたユニークな商品を次々と生み出してきた。おいしさとともに安全・安心・健康を掲げ、農薬や化学肥料にできるだけ頼らない「モスの生野菜」を全店で導入している。

株式会社モスフードサービス
〒141-6004
東京都品川区大崎2-1-1

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