全国刀剣商業協同組合
理事長 深海 信彦

全国刀剣商業協同組合 深海 信彦

刀剣

刀剣商の実力を示す。
「刀剣評価鑑定士」の
資格認定事業を開始

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はじめに

今回のリーダーは、全国刀剣商業協同組合 理事長の深海信彦さんです。
全国刀剣商業協同組合は昭和62年9月に設立。全国の刀屋が集まって作った組合で、刀剣を生業とする人たちが互いに助け合い、事業の向上と社会的地位の確立を目指しています。深海理事長は、設立当初を知る貴重なメンバーの一人で、長きにわたり組合活動に尽力されてきました。平成30年に理事長に再任し、現在どのようなことに力を入れて組合活動に携わっているのか、お話頂きました。

インタビュー

子どもの頃、実家にあった刀剣・日本刀を見て 自然と刀に興味を持つ

全国刀剣商業協同組合 深海 信彦

深海理事長と刀剣・日本刀との出会いは、いつですか?

子どもの頃ですね。山口県の実家に刀剣・日本刀が置いてあったんです。その頃は、刀剣・日本刀は違法武器で反社会的勢力が持つようなイメージしかありませんでした。ですから、家で刀剣・日本刀を見つけたとき、父親が法律違反をして隠し持っていると思っていましたね。恐る恐る見ていたと同時に、刀剣・日本刀に対する興味も湧いたことを覚えています。

その後、大学進学のために東京へ出てきたのですが、街中に刀剣・日本刀を売るお店があることに驚きました。当時は有名デパートでも販売されていて、店員に「これは売買してもいいんですか?」と聞くと、「当たり前だよ」と。そのときに父親は法律違反していたわけじゃないと、ホッとしましたね。

その店員が「家に刀剣・日本刀があるなら高く買うよ」と言うので、実家に帰省したとき、父親に黙って刀剣・日本刀を持ち出しました。店に見てもらったら、価格は8万円。そのまま売ってしまおうかとも思いましたが、ふと気になり別の店に行ってみたんです。すると、その店では80万円。

私がこのときすごく興味を感じたのは、値段そのものよりも10倍もの価値の差が生まれたことに対してです。そうなった理由は刀剣・日本刀を扱う人の目利きによるものなのか、学生だから安くて良いと考えた人間性によるものなのか、どちらかは分かりません。しかし、人の鑑識眼や鑑定眼、人格などが影響して価値が10倍も変わるビジネスはなかなかないですから、面白いなと感じました。

大学を卒業して宝飾関連の仕事に就いたのち、 刀剣商の仕事を始める

全国刀剣商業協同組合 深海 信彦

刀剣・日本刀を仕事にしたいと思ったきっかけは何ですか?

当時、刀剣・日本刀は骨董屋さんで骨董品の一部としてしか扱われていなかったので、それを自分の職業にするつもりはありませんでした。それでも大学での4年間、あの8万円と80万円の出来事がどうしても頭から離れなかったので、刀剣・日本刀が「男子一生の仕事」となるのか、一度取り組んでみようと思いましたね。

では大学を卒業して、すぐに刀剣・日本刀の仕事に就いたのですか?

いいえ。新卒の就職というのは人生に一度きりですし、会社勤めも一度は経験した方が良いと思い、某デパート系列の宝石、ネックレス、時計部品を扱う卸の会社に入社。そこで入社後にいきなり宝飾部に配属されたときには驚きました。通常、新卒社員は時計や、その付属品を扱う部署に配属になるはずで、最初から宝飾部というのは縁故などでないと難しかったからです。

そこに配属された経緯としては、入社後どの部門に配属するか適性を見るときに、いくつかの宝石を渡されて鑑定させられたときの結果だろうとは思います。ただ、自分としては宝石に関する知識がない中、慎重に見ていただけです。それでも、長い間宝石も人も見てきた上司には、私には先天的な物を見る目があると感じたのかもしれませんね。

上司から見込みがあると期待されていたものの、刀剣・日本刀にかかわる仕事をしたいという気持ちもあったので、2年間勤務して退職しました。そして、刀剣商の仕事に就きます。

全国刀剣商業協同組合の設立からかかわり、 16年役職を務める

全国刀剣商業協同組合 深海 信彦

会社を辞めたのちに始めた刀剣商のお仕事は、個人で始めたのでしょうか?

そうですね。いきなり店舗も持てないし、従業員も雇えないわけですから。世間からみたら、刀剣・日本刀を扱う骨董屋さんのブローカーみたいなもんでしょうか。地方の交換会やオークションなんかに参加して、売買していましたね。そうするうちに、人脈も広がっていきました。

その後、全国刀剣商業協同組合の理事長に就任されましたが、どのような経緯だったのでしょうか?

私が36歳のとき、刀剣商のための組合を作りたいと、のちに2代目の理事長になった人から相談を受けたのです。刀剣業界を発展させて立派な団体にしたい、『骨董屋の一範疇である刀剣商』ではなく『刀剣商』自体を立派な職業にしたいと考えているので、協力してくれとおっしゃったのです。

それで協力すると共に、その人が理事長のときに専務理事も務めました。専務理事を続けるうち、次期理事長と期待されるようにもなりましたが、まだ若かったですしね。自分でなくとも、他の誰かが理事長になって立派な組織にしてくれるだろうと考えて、8年で専務理事を辞めました。その後役職がない時期が続きましたが、結局7年前に理事長に就任。6年間務めて引退しました。

ところが、昨年もう一度理事長になって力を貸してほしいと言われました。渋りはしたんですが、組合の発展のために私を必要としているのであればと思い、再び理事長に就任したんです。最低でも来年まで理事長の任期がありますからね。トータル16年、組合設立32年の歴史の半分を専務理事・理事長として務めたことになります。

刀剣商の実力を示す。 「刀剣評価鑑定士」の資格認定事業を開始

全国刀剣商業協同組合 深海 信彦

組合では具体的にどのような活動をなさっていますか?

組合員間での相互取引といった交換会や慈善事業活動をする他、毎年『大刀剣市』という大きなイベントを開催しています。業者が集まって共同で展示即売会をやり、新たな愛好者を開拓すると共に、刀剣・日本刀や甲冑(鎧兜)武具類などを美術品として的確に扱うよう啓蒙活動などをしています。

もちろん、これらも重要な活動ではありますが、内閣総理大臣から認可を受けた組合でもあるので、もっと何かできないかと考えていました。そこで思いついたのが資格認定事業です。

日本は資格社会になり、自分の能力を資格で示すことができる時代になってきましたが、刀剣商には資格がないんです。もちろん警察庁の公安委員会から古物商許可は取らなければいけませんが、この許可証は古物商の実力を示す証明にはなりません。そこで他の古美術に先駆けて「刀剣評価鑑定士」という資格認定事業に取り組み、昨年実現させました。私が第1号の「刀剣評価鑑定士」なんですよ。

この資格認定事業に取り組むにあたり、問題の作成などで公益財団法人日本美術刀剣保存協会一般社団法人日本甲冑武具研究保存会公益財団法人日本刀文化振興協会、さらには監督官庁である警察庁の保安課と生活安全課にも試験に出題する問題をチェックして頂きました。この資格をきっかけにして、将来は一般の方が受験できる「刀剣検定」に結び付けていきたいですね。そうすれば刀剣・日本刀や刀剣商という仕事が広く知られるようになるのではないかと思います。

刀剣・日本刀などの美術品は時代背景に 思いを馳せることで、さらに魅力が増す

全国刀剣商業協同組合 深海 信彦

「刀剣女子」など刀剣・日本刀に興味を持つ若い世代もいますが、どう感じていますか?

最近博物館へ行くと、藤四郎吉光(とうしろう よしみつ)のような有名作家を「吉光さん」「吉光様」と言っている刀剣女子に出会うことがあります。刀剣女子の方々は刀を買うことはないので、直接の売り上げに繋がりはしないのですが、刀に興味を持ってくれる若い世代がいることはとても良いことだと思います。それによってメディアも刀剣・日本刀に注目してくれて、ありがたいですね。

刀剣・日本刀を始め、そうした古美術に興味を持つ若い世代に向けて、メッセージをお願いします。

もし刀剣・日本刀を好きだと思ったら、その刀剣・日本刀が必要とされた時代の歴史や作られた背景を総合的に見てほしいですね。同時にその刀剣・日本刀のにも興味を広げていってもらいたい。そうすることで、「だからこう作られたのか」と刀剣・日本刀の本質を知ることができるはずです。例えばある時代の鍔は湾曲した形だったり、華美なデザインになっていたり。そうある理由は作られたときの時代背景を読み解けば、自ずと分かるでしょう。また、時代背景を知っていれば、他の刀剣・日本刀や鍔も見るだけで、いつの時代のものか分かってしまうこともある。「この刀剣・日本刀は突きに適した形だから、幕末かな」とかですね。

これは刀剣・日本刀に限らず、美術品すべてに言えます。時代背景に思いを馳せることができるのが、古美術の良い所です。美術に目覚めたらその美術の背景を見る。ミレーの「落穂拾い」という絵も、落穂を拾う理由、当時の民衆の貧困さ、そういう背景に思いを馳せると落穂拾いがさらに素晴らしい名画になるのです。物だけでなく、時代背景を一緒に勉強したら、きっと楽しいと思いますよ。

社名・役職などはインタビュー当時のものです。

インタビュー:2019年11月

経歴

平成3年5月

全国刀剣商業協同組合 専務理事(4期8年)

平成23年5月

全国刀剣商業協同組合 理事長(3期6年)

令和元年6月

全国刀剣商業協同組合 理事長(現任)

公益財団法人 全国刀剣商業協同組合

全国刀剣商業協同組合 深海 信彦

1987年に刀剣を生業とする人たちが、事業の向上と社会的地位の確立を目指し設立。設立以来、年に一度の「大刀剣市」を事業の柱としてきたが、2018年から「刀剣評価鑑定士」認定事業を開始。刀剣を後世に引き継ぐ活動している。

全国刀剣商業協同組合
〒169ー0072
東京都新宿区大久保2丁目18番10号 新宿スカイプラザ1302号

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