トップインタビュー
私たちの使命は、 お客様を元気にすること

「会社を元気にする会社」のスローガンは、どのように生まれたのですか?
当社は平成4年に「株式会社トップ事務機」という社名でスタートしています(平成9年に「株式会社トップ」に社名変更)。事業内容としては、法人向けの電話機、コピー機などの事務機器・事務用品の販売やメンテナンスを手掛けています。
勤めていた会社を退職し、起業してから苦労したり、悩んだことはほとんどありません。何度足を運んでも「来年また来て!」と断られていたNTT様も、4年目にようやくOKを頂き、それに合わせて業績も上向いていきました。
「会社を元気にする会社」というスローガンを作ったのは、東日本大震災が発生した平成23年です。震災の影響から社会全体に自粛ムードが漂っていた年で、そんなときこそ「お客様に元気をお届けしたい」と、通信機器などの商談やメンテナンスでお客様のもとへ伺う際は、どこよりも元気に「おはようございます!」と挨拶することを決めたのです。お客様を元気にするために、まず社員から元気を発信していこうというわけです。
挨拶がしっかりできれば社会人としては八割方OKだという思いがあり、そこだけはうるさく指導していたため、すぐ社員に浸透していきました。
そうやって元気を全面に出していくうちに「キミが来ると気持ちが明るくなるわ」「来てくれてうれしい」といった言葉を頂けるようになってきて、お客様とのつながりを強めることができました。
考えてみれば、私たちの使命はお客様の経費節約や効率化を積極的に提案し、その会社を元気にしていくことなので、まさに当社の活動を象徴するスローガンだったわけです。
社員の提案で広がる、事業の多角化
事業の多角化はどうやって実現されているのでしょうか?
私たちの目標は、「販売」と「サービス」で日本一になることです。お客様が元気になる商品なら、分野にこだわらず販売していきたいと考えています。どんなに素晴らしい商品やサービスがあっても、それを伝える人がいなければ、必要とする人に届けられませんから、販売という仕事に誇りをもって新しい可能性に挑戦しようと社員に伝えています。
販売したいと思える魅力ある商品と出会うためには、縁が必要だと思っています。当社の場合、社員がその縁を運んでくれることが多いです。「こういう魅力ある商品を見つけたので、販売したいです!」と。それに対し、私は「じゃあ、やろうか!」と言うだけ。ノーと言わない「イエスマン」の社長ですから(笑)。もちろん提案内容によっては吟味も必要ですが、基本は前向きに検討します。
例えば株式会社トップでは、電話、ファックス・コピー機、パソコン、机などのオフィス家具、エアコン、防犯セキュリティの他に、産業廃棄物処理や旅行代理業といった事業も展開しています。まさか当社で産業廃棄物処理に取り組むなんて思いもよりませんでしたが、オフィスから出るごみの処理と捉えるなら、オフィスビジネスの一気通貫のつながりがあるわけです。
こうした柔軟な発想を活かして、印章製作、飲食事業、旅行・旅館事業、ウエディング事業など手掛ける事業はビジネスから暮らしまで広がりを見せています。
「明るい笑顔で7時退社」の 会社を目指して

会社を設立された時、目標にしていたことはありますか?
前職は事務機器の販売会社で、夜討ち朝駆けという言葉がぴったりの営業をやっていました。売上の目標が達成できなければ休みを返上して出勤というのも当たり前でしたが、私はそこを変えたいなと、率先して有休を取って海外旅行に出かけたり、定時に仕事を終えて後輩を食事に連れ出したりしていました。そのせいで社内では異端児扱いされていましたが、それほど仕事が好きではないせいか、必要以上に根を詰めて働くことにずっと疑問を持っていました。
その後、会社を退職し、平成4年に当社を設立したのですが、その際、絶対こんな会社にしてみせるという目標がありました。それが「明るい笑顔で7時退社」です。今でこそ時短や働き方改革などが叫ばれていますが、当時の営業主体の会社では考えられない発想でした。
それから数年たったある日、目標を実行する時がやってきました。7時帰宅を社長命令としたのです。言い換えるなら「どうせ10時にしか帰れないから、ちょっとサボっておくか」ではなくて「効率よく仕事を切り上げて“OFF TIME”を楽しもう」ということを徹底しようとしたわけです。すると、仕事にメリハリができ、労働時間に反比例して売上げが伸びてきました。私の予測していたことが現実の成果として表れたことが、本当に嬉しかったですね。
頑張れるのは、 チームで喜びを分かち合えるから

社員のやる気を引き出すために何か工夫していることは?
私は、自分の体験から売上のノルマを決めたり、決められたりするのが嫌いです。ではどうするかというと、毎月全社で目標を達成したら事務系の社員も含めて全員に特別賞金を支給する「スタッフ賞」というものを設けたのです。
もともと営業は実力主義なので成績に応じて報奨金が支給されますが、事務スタッフには何もありません。むしろ営業が成績を上げるほど事務の仕事が増えるだけでした。そうなると、不協和音を生みやすく、社内のムードもよくありません。そこで、営業が頑張ったら事務も含めてスタッフ全員に賞が行き渡るようにしたのです。
営業はスタッフから発破を掛けられて「スタッフ賞を獲得するために頑張るぞ!」とやる気になる。事務のスタッフはチームのために頑張る営業に感謝の気持ちが生まれ、電話の応対が明るくなったり、お客様から叱られることがあっても丁寧に謝ったり、商品について「どこか気になるところはないですか?」などとニーズを引き出してみたりして、営業をフォローしようとどんどん前のめりになってくる。そうした互いの協力体制ができてくると、組織の団結力がより強固になってくるわけです。
結果として、何ヵ月も連続でスタッフ賞を獲得するようになってきました。個人に課せられたノルマには抵抗があっても、みんなで喜びを分かち合うためなら頑張れるのだと思います。
男子はゴルフ、女子は卓球で。 日本のプロスポーツを盛り上げていく
ゴルフなどのプロスポーツのスポンサーを始めた理由を教えて下さい
早いもので、「トップ杯東海クラシック」冠スポンサーになって今年で6年目。たまたま主催者とのご縁があってやらせて頂いています。きっかけは、冠スポンサーを探していた主催者の方が、私の元へやってきたときの発言でした。「ゴルフトーナメントの冠スポンサーは、大企業ではなく、これから伸びる企業が担うことに意味がある。そういう発想でお宅に伺った」と。上手な口ぶりにまんまと乗っかってしまいました(笑)。
スポンサーをやってみたら、想像以上の効果がありました。「トップ」という会社の存在を広く知らしめることになりましたし、ブランド力も高まって新規のお客様への営業もしやすくなりました。
また、平成30年10月、日本卓球リーグ・Tリーグが発足しています。その中の名古屋に拠点を置く「トップおとめピンポンズ名古屋(TOP OTOME PINGPONGS NAGOYA)」のチームオーナーになりました。これも、あるご縁がきっかけですが、話を聞いていたら面白そうでわずか15分足らずで「やります!」と返事をしていました。
ゴルフと同様に、ブランド力や知名度向上を目的にスポンサーになったのですが、純粋に「自分たちのチーム」を応援したいという思いも強いですね。私自身、卓球というスポーツを少し誤解していたようで、迫力ある高速ラリーなんかに魅了されっぱなしです。リーグの試合は全国で行なわれており、試合会場が当社の営業所に近いときには、営業所のスタッフとお得意様がお揃いのオレンジ色の半被(はっぴ)を着て応援に駆けつけてくれました。
Tリーグに所属するチームは男子4チーム、女子4チームとまだ少ないですが、それだけにリーグへの意見が言いやすく、これから色々アイデアを出しながらリーグを盛り上げていきたいと思っています。
反転の光を当ててくれた 恩師に感謝

人生の転機になった出会いや出来事はありましたか?
小学生の頃は、やんちゃでした。授業中は目立たないようにおとなしくして、休み時間になったら「いくぞーッ!」と仲間を引き連れて、ちょっとした悪さや(今では言えないような)いたずらをしたり。おかげで先生によく叱られていましたし、勉強も苦手でした。そんな私に光を当ててくれたのが、5、6年生時代の担任だった古屋先生です。
あるとき、古屋先生から「心に思ったことをなんでも良いからノートに書きなさい」と言われました。それで毎日思ったことを「心のノート」に書いて提出していました。ノートを通じて先生とキャッチボールをするうちに、少しずつ心を開いていきました。
そんな中、古屋先生の意向で学校代表として笛を作るリーダー講習会に出させてもらったのです。本来なら、もっと勉強のできる子が行くはずなのに「小田に行かせたい」とクラスのみんなの前で推薦してくれました。私は喜んでリーダー講習会に参加し、そこで覚えたことをクラス全員に伝えました。笛づくりで、クラスのみんなを引っ張ることのすばらしさを教えてくれた古屋先生から学んだ2年間は、私にとって“反転の光”でした。「僕にもできるんだ」という自信が芽生え、その後の人生の大きな糧となったのは間違いありません。
その感謝の想いから、名古屋テレビで放映されている「反転の光」(毎週日曜日17時55分~)という番組の提供をしています。
古屋先生が私にしてくれたように、社員教育でも能力のあるなしにかかわらず、愛情をこめてじっくり時間をかけて社員を育てるように心がけています。
社名・役職などはインタビュー当時のものです。
インタビュー:2019年4月