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米国のガーデンウェディングに 感動したことが、本気で業界を 志すきっかけに

ウェディングの世界に進まれるきっかけについて教えて下さい。
中学から高校まではバスケットボール一色の生活で、インターハイに2度出場したことから、実業団にスカウトされ就職しました。しかし、約1年で廃部となり、引退後は子会社で働くことになりました。
その頃から本業と掛け持ちで飲食店のアルバイトをするようになり、結婚式の二次会を担当する機会もあってお客様から感謝されることに喜びを感じました。それが最初の転機だったかもしれません。
それから3年程経って会社を退職し、姉が住んでいた米国を訪れました。そのときに見たガーデンウェディングに感動して「これは日本でも流行る」と確信しました。将来的には自分で起業する夢を掲げて、帰国後にウェディングのプロデュース会社への入社を決意しました。
どんな場所でも発想ひとつで理想の 結婚式会場に変身させる力を学んだ

その会社ではどのような経験を積まれたのでしょうか。
レストランや体育館、ホールなど様々な場所での結婚式を得意としている会社でした。そのため、どんな場所でも想像力を駆使して、新郎新婦に満足して頂ける結婚式場に生まれ変わらせることが仕事でした。何もないホールにどんな花を飾り、どんなテーブルをレンタルして、料理はどこのケータリングに依頼するべきか、など白紙の状態から結婚式会場を創り上げなくてはいけません。しかし、大変さよりも楽しさとやりがいの方が強かったです。イマジネーションの力でゼロからイチを生み出す訓練をさせて頂いたと思っています。最終的には式場運営の責任者まで経験することができ、経営のノウハウも身に付けることができました。
日本の伝統を継承した結婚式を 残していきたい

鎌倉の商家「萬屋本店」を結婚式場に生まれ変わらせた背景について、お訊かせ下 さい。
昔から古い建物や歴史的な建造物に興味がありました。そこには今ではもう作れない素晴らしい技術や伝統を紡いできた時間が息づいています。ただ、それはとても儚くて、脆いものでもあるのです。だからこそ、後世に伝えていかなくてはいけないと思っています。そうした思い入れもあって、日本人だからこそ叶えられる結婚式を手掛けたいと考えるようになりました。
「萬屋本店」は、200年以上続く鎌倉の商家で、大正時代に建てられた母屋は社交場にもなっていたようです。また、周辺は神社仏閣に恵まれているのに、和風の婚礼会場に乏しかったこともあり、「食」「式」「花」「美」「宴」「装」「心」「想」の要素にこだわり抜き、調和をコンセプトにしたウェディングを萬屋本店から発信しようと決意しました。
人生の節目だからこそ 「あいさつの儀」で親への感謝を伝える

結婚式のプランについて、どのようなこだわりをお持ちでしょうか。
色々な情報が溢れる社会だからこそ、大切に守り伝えていく「想い」があると考えています。歴史を掘り下げると、結婚式においても日本人がずっと大事にしてきた文化に根差すものがあって、例えば、我々がご提案している「あいさつの儀」もそのひとつです。
「あいさつの儀」は時間を設けることだけ決めて、何を伝えるかは皆様にお任せしています。お子様からの言葉に、静かに頷いて涙を流すご両親もいれば、お説教するご両親もいます。現代は、家族との距離も近く、コミュニケーションが取れているからと言って、こうした儀礼が削ぎ落とされているように感じます。しかし私はあえてこの時間を取ることで、伝えられる大切なメッセージがあると信じています。
お客様から見える景色を 想像しておもてなしをする

晴れの舞台を支えるスタッフには、どのようなプロ意識が求められますか。
新郎新婦や参列者の方々の立ち位置から見える“景色”を想像して、察して欲しいと日頃から伝えています。私はお客様が望まれていることをして差し上げることこそが、おもてなしの本質だと思っています。それは過剰なサービスでも、サプライズでもなく、自然でさりげないものでいいのです。また、自分の親友が結婚式を挙げるような気持ちでプランニングして貰いたいと伝えています。「親友だったら本当にその演出を勧めるだろうか」と問いかけることで、新郎新婦の期待を超える提案ができると思っています。
これから生きていくうえで、 心の支えになるような結婚式を

最後に、結婚式場を探している方にメッセージをお願いします。
結婚式はご両親と今までの人生で出会った方々に感謝を伝える場です。私は結婚式というのは新郎新婦の門出でもあり、これから生きていくうえで、心のけじめを付ける場として大切にして頂きたいと思っています。結婚生活は苦楽のどちらも経験すると思いますが、夫婦の糧になるような結婚式にして頂きたいです。
また、日本では式場専属のウェディングプランナーが一般的ですが、アメリカでは先にウェディングプランナーを見付けてから会場を探します。文化の違いではありますが、どこで結婚式を挙げるかだけではなく、誰にプランニングを任せるかも同じくらい大切です。そうした部分にも目を向けて頂き、より素晴らしい結婚式を叶えて頂きたいです。
社名・役職などはインタビュー当時のものです。
インタビュー:2017年6月